走ると足の付け根(そけい部)が痛い

腸腰部痛
この疾患は内転筋群と大腿二頭筋の運動ポイントが一時的にずれ過ぎたことにより大腿四頭筋が本来の働きを十分にできなくなり、その結果、大腿四頭筋が床反力と体重心への対応がうまくできず、そのために同じ神経叢の支配下にある腸腰部構成筋群にモーメントが集中し、この筋群が強いオーバーワークになります。こうなると関節防御のために関節腔より過剰な滑液が腸恥包に溜り、それが強い痛みを発症させます。しかし、日常の一般的な動きではこのような事は起きません。通常この疾患はスポーツ性に限定されます。しかし、股関節疾患などにより大腿四頭筋や内閉鎖筋の運動キャパスティーが小さくなっている場合などでは、ことさら強い運動をしなくても発症するケースも時々あります。
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発症の背景

この疾患は股関節の器官損傷を有する方を別にすれば、典型的なスポーツ障害として発症し、当然ながらランニング系のスポーツに多発します。代表的な競技を挙げると女子では長距離走、男子では短距離走です。勿論これに限ったことではなく他の競技でも発症はします。しかし、この性差と競技の違いはこの疾患の発症原因を考える上で研究示唆に富み、大変興味深いものがあります。まず女子の長距離ですが、一口で言うと小腰筋を有しているかどうか?がこの疾患になるかどうかの大きなポイントのひとつです。小腰筋は破格性の強い筋で日本人では約52%の人が有していません。しかし、この筋の主要な働きは筋膜張筋機能です。つまり、下肢筋群の運動バランスを計る筋です。勿論、本格的には大腿筋膜張筋がそれを行なっており、その筋は全員が有していますから、普通の動きでは小腰筋の有無は別になんの問題も生じさせません。しかし、限界的な動きを筋に継続的にかけるような競技では、この筋の有る無しが影響を及ぼします。また、この筋を有していないことは、腸腰筋の線維数が有している人に比べて少ないことにもなります。腸腰筋は大腰筋と小腰筋のそれぞれの先が腸骨筋からの筋と合し形成されています。従って、小腰筋のない人はその分だけ腸腰筋の線維数が少ないことになります。また、腸腰筋は人が歩行形態を行なう時、最初に収縮し、力を出す筋です。ランニング時に下肢筋群のバランスが取りにくく、最初の発す力の弱い人が限界的なスポーツをすると、この疾患を発症させる可能性が高まることは当然のことです。*小腰筋の破格は男子にも見られます。従って破格は性差には依りませんが女子のほうが圧倒的に多く見られます。他方、男子の短距離走はハムストリングの収縮スピードに腸腰部構成筋群である大腰筋が付いていけなくなり、その分、腸腰筋に過度なストレスがかかり発症します。この大腰筋は腰を運動結果として前方から支持する役割を持っています。(体幹の前屈と背臥位での体幹のもたげ)ハムストリングの収縮スピードがあまりにも早すぎると、推進力(下肢を前方へ挙げる力)でこの筋の運動キャパスティーが一杯になり体幹のもたげに本来の力が及ばなくなります。その結果、腸恥包に滑液が過剰に分泌され、この疾患を発症させます。
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